受診のコツについて
↓各項目の基準・説明

「受診のコツ」は、それぞれの疾患について医師に受診する時の大まかな目安をまとめたものです。多くの患者さんが医療を受ける際の最初の目安に困っているという現状から、思い切って簡略にまとめたものです。実際には、ひとつの病気でもその重症度や症状により判断が異なり、一概には規定しがたいもので、監修者としてたいへん苦慮したものです。それぞれの疾患の平均的なアドバイスとしてご参考にして下さい。また、医療の現場では"例外"が付きまといますが「例外に対処するためにも基本的なことは知っておいたほうがよい」という監修者の考え方が本書の底流にあることもご理解ください。
今版では見やすさ、わかりやすさを考慮して、それぞれの疾患ごとに選択された項目のみを記載しています。そのため、各疾患に特異なコメントは原則として記載されないことに若干の違和感が生じることが判明し、特別な疾患や執筆専門医の要望に応じて、統一した選択肢以外のコメントを記載している場合もあります。より正確な「受診のコツ」のためとご了承下さい。
統一した選択肢に関しましては以下に説明いたします。
また、「受診のコツ」は、本書の全疾患を通して統一した基準で判断するために、文責は各疾患執筆者ではなく、監修者の寺下謙三が執筆者の意見も聞きながら行いました。


発病頻度
統計に基づいた絶対数で分類したものではなく、日常診療の中で遭遇する頻度として、全体に疾患群の中での大まかな位置づけを示しました。
 ☆→まれに見る
 ☆☆→時々〜しばしばみる
 ☆☆☆→日常的にみる

初診に適した科
最初の診断や初期治療を受けるのにふさわしい専門科を選びました。診断確定後や初期治療後の定期診療にふさわしい科とは異なることもあります。また、地域により細分化された専門科が現実的でない場合も想定して、より大くくりの選択も考慮し複数科チェックを入れました。なお、記載した順番は必ずしも優先順ではありません。

初期診断・急性期治療に適する医療機関、安定期・慢性期治療に適する医療機関
医療機関の分類にも苦慮しました。現実性と簡便性を考慮して、以下の5分類としました。
◆外来診療所
◆小中規模病院
◆総合病院・大学病院
◆特殊専門病院・研究機関病院(大学病院)
◆救急体制・ICUのある病院
小中規模病院とは、100床ぐらいまでの単科または数科を標榜する病院とし、ある程度の検査機器などが必要な場合を想定しています。総合病院は合併症などにより複数科の受診が想定される場合、特殊専門病院とは、例えばがんセンター、結核病棟や精神科閉鎖病棟などを有する病院などを想定しています。救急体制・ICUのある病院は、発病が致命的な発作で始まる疾患や、慢性期でも致命的な再発作の危険性が比較的高い場合を想定しています。
入院の必要性
四者択一としました。一般論と割り切って分類しました。
◆原則的に必要
◆診断や一時的治療(手術など)のために必要
◆重症度や症状により必要
◆外来で可能

薬物治療の目安
こちらも一般論として割り切って5分類としました。
◆原病に対しては、不要なことが多い
◆急性期や合併症予防のために短期的に使用
◆中〜長期に及ぶことが多い
◆継続的に服用することが多い
◆症状、病気、治療方針により大きく異なる

手術の可能性
以下の8個の選択肢を用意し複数選択可能としました。医療手技の発達や症状により専門家にとっても微妙な選択に迷うことも多々あります。
◆なし
◆まれ
◆原則的に必要
◆重症度や症状により必要
◆合併症により必要
◆原因により必要
◆内視鏡的手技・カテーテル治療
◆内科・放射線・焼灼治療も可能

治療期間の目安・予後(予測される病気の推移や治療に対する反応)
以上の6選択肢を用意し振り分けました。わかりやすく1行で表現するという本来の目的のために英断したとお察し下さい。
◆自然軽快あり、または自然経過観察可能
◆比較的短期(1〜2カ月以内)に治療できることが多い
◆治療期間が中〜長期(数カ月〜数年)に及ぶことが多い
◆継続的治療(生活習慣改善「食事療法・運動療法など」を含めた総合的治療)が必要
◆病気の進行度などにより治癒の期間・可能性が大きく異なる
◆現代医学では治療困難だが、時に進行や症状を抑えることが可能

診断・経過観察に必要な検査
以下の検査項目から複数選択にしました。可能性のありそうなものを多く含も事を心がけました。
◆血液・尿・便・痰
◆単純レントゲン
◆造影レントゲン
◆超音波検査(エコー検査)
◆CT検査
◆MRI・MRA
◆胃透視・胃内視鏡
◆注腸造影・大腸内視鏡
◆気管支鏡
◆その他内視鏡
◆心電図
◆脳波
◆筋電図
◆髄液
◆血管造影
◆生検(細胞診を含む)
◆RI検査
◆PET検査
◆マンモグラフィ
◆その他
なお、「救命救急」内の各疾患に関しては、緊急性を要するために、受診のコツは特別な選択肢を用いています。
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